電通は本当にブラックなのか?広告代理店のリアルな働き方とホワイト企業を紹介

2020年11月3日

就活や転職で高い人気を誇る広告業界。

「華やか」「激務」「ブラック」という様々なイメージがある中、広告業界の具体的な仕事内容やリアルな働き方などについては、実際あまり知らないのではないでしょうか?

広告代理店ってブラック!ってイメージがあるけど実際どうなの?

そんな疑問を解決する記事を用意しました!

この記事を書いている筆者は、普段広告代理店で営業として勤務しています。

様々な代理店を見てきた筆者が、広告代理店のリアルな働き方を説明していきます!

業界平均で見ると確かに残業が多い

まず業界全体の中で残業は多いのか、見てみましょう。

以下は、業界別での月間残業時間ランキングです。

コンサルに次いで第2位、残業時間も78.6時間となっています。

やはり業界全体で見ると広告代理店は残業が多いという事は間違いなさそうです。

電通が「広告=ブラック」を加速させた

1位のコンサルより広告の方が「ブラック」のイメージが強いのはなぜ?

皆さんの中には、1位のコンサルよりも「広告代理店=ブラック」というイメージが強いはずです。

その理由は広告最大手「電通」にあります。

広告代理店といえば最大手企業である電通が有名ですが、過去、長時間労働による過労死や、新入社員の自殺事件が起き、社会に大きなインパクトを与えました。

2016、2019年にブラック企業大賞という不名誉な賞を受賞したことでも有名です。

拍車をかけるように、実際に働いていた社員の口コミ・暴露本で「過激な働き方」の一部始終がどんどん露出しています。

そんな電通の「ブラックな面」が切り取られてフォーカスされ、いつの間にか「広告代理店=ブラック」というイメージが定着してしまった印象があります。

一概にブラックとは言い切れない

たしかに、業界別ランキングで数字に出ている通り広告代理店は比較的忙しく、残業が多い場合もあります。

しかし決して、広告代理店が全ての面でブラックという訳ではありません。

広告代理店で勤務する筆者の観点で3つのポイントを以下で説明します。

会社による

まず最初に、ブラックかどうかは「会社」によって大きく変わってきます。

これは同時に会社の「事業領域」にも関わってきます。

電通や博報堂など大手総合広告代理店はとにかく事業領域が大きく、広告に関する領域であれば何でもできます。

それは言い換えると、「やる事がたくさんある」「たくさん仕事をする」につながります。

一方電鉄系など、特定の領域に特化しているハウスエージェンシーでは、経営が親会社に守られており、事業を拡大せずとも安定しています。

なのでガツガツせず「自分達の出来る仕事だけやる」というスタンスがあったりします。

【博報堂の残業時間(口コミ)】

【小田急エージェンシーの残業時間(口コミ)】

また、最近では働きやすい労働環境に取り組んでいる広告代理店も少なくありません。

他業界の会社よりもホワイトな代理店もたくさんあります。

ちなみに筆者の勤務先も残業は原則19時までで、社員もほとんど19時前後には帰宅しています。

部署による

1つの広告代理店でも、社内で様々な部署が存在します。

同じ会社でもそれぞれが違ったスタイルの仕事をしているので、部署によって働き方がずいぶん違います。

営業は意外と早く帰れる?

まず、経理や人事などの管理部門は夜中まで働く事はほとんどありません。

そして意外と、営業も早く帰れる場合があります。

その理由は、営業は自分で仕事をコントロールできるからです。

営業は、期間内に達成すべき数字(売上や利益)が決まっています。数字を達成すれば、クライアントから無理な仕事を依頼されても無理に働く必要がありませんし、誰にも文句言われません。

営業は仕事の強弱のさじ加減が見えやすく、意外と無理せず働けるのです。

企画系の部署は残業が多くなりがち

逆に、広告代理店の企画部門やクリエイティブ部門という受身形の部門は残業が多くなる傾向があります。

なぜなら企画は営業から仕事を任されるため、自分で仕事をコントロールできないからです。

営業と違い、最前線の仕事が見えないので「どの仕事に力を入れるか・捨てるか」というさじ加減が難しいのです。

結果として、営業からの依頼は基本受けていく羽目になり業務過多になるのです。

時期による

また忙しさには「時期」でも差があります。

広告が出やすい時期がある

1年の中で、広告の出稿量が増えるタイミングがあります。

業界によって変わりますが、3月の期末、9、10月の季節の変わり目、12、1月のクリスマス・年末年始が多いです。

一般的にこのような繁忙期はどの広告代理店も忙しいですが、逆に、これ以外の時期は定時で帰れる事も多いのです。

案件がない時は、そうでもない

広告は「お祭り行事」のようなサービスを提供しているので、1案件の金額が大きいです。1案件1億円というプロジェクトも、ざらにあります。

その分1案件にかかる負担が大きく、このときは夜中まで働く事が多々あります。電通ではこの部分が切り取られて、「ブラック」と言われているのです。

やるときは全集中で学園祭の前日みたく深夜まで働きますが、終わってひと段落してしまえば意外とゆっくりできます。そのタイミングで1週間くらい有給を取って海外旅行なんてこともあります。

つまり、自分の案件が動いていないときは早く帰れる、よく言えばメリハリがあるのが広告業界の特徴です。

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残業が少ない企業ランキング

ここからは、残業が少ないと言われる広告代理店を紹介します。

「キャリコネ」ユーザーが投稿したデータをもとに、残業時間が短い順のランキングです。トップ5入りした企業に寄せられた口コミもあわせてご紹介します。

【広告業界の残業が少ない企業ランキング】

※調査概要は下部に記載

<調査概要> 「広告業界の残業が少ない企業ランキング」
調査対象:『日経業界地図 2018年版』(日本経済新聞出版社)の「広告」に記載があり、対象期間中に「キャリコネ」に雇用形態が正社員のユーザーから給与・残業情報が20件以上寄せられた企業
対象期間:2015年4月1日~2018年3月31日
回答者:キャリコネ会員のうち勤務先を評価対象企業に選択した会員
※本ランキングはユーザーが投稿したデータをもとに作成しており、企業が公開している残業時間データとは乖離がある場合があります

1位 サイバーコミュニケーションズ

サイバー・コミュニケーションズのロゴ

「ノー残業デーがチーム単位に自由に設定されるようになったため、以前よりは帰宅しやすくなった印象」
(マーケティング/30代前半男性/年収600万円/2015年度)

「ワークライフバランスを重視するならベストな会社だと思う。給与面やスキルアップには期待できないが、仕事内容は緩く、休みも取りやすく、プライベートな時間は大いに充実する事ができる。」(営業/中途入社 男性)

2位 サイバーエージェント

サイバーエージェントのロゴ

「裁量労働制のため残業代は出なかった。繁忙期が過ぎると自分自身で働き方をコントロールできる。有休は取得しやすい雰囲気だった」
(社内SE/30代後半男性/年収650万円/2014年度)

「残業は人によって違い、深夜までいる人もいればサクッと帰る人もいたが、残業を強制されていることはなく、遅くまで残っている社員は仕事が好きで残っているという感じだった。」(プログラマー/男性 中途社員)

「部署にもよりますが、メディア部門は残業が少なく毎日定時で帰る人もいる。広告部門は定時では帰れない。」(広告営業/女性/ 20代)

3位 デジタルホールディングス(旧:オプトホールディング)

デジタルホールディングス(旧:オプトホールディング)のロゴ

「ゴールデンウィークや年末年始などは1週間以上の長期休暇にするため会社全体が休みになる。みんなそのタイミングで旅行にいったり実家に帰ったりするようで非常に満喫した休暇を取れているようです。非開発部門は基本的に残業が少なくあっても毎日1時間程度。有給休暇や代休も比較的とりやすい」
(生産・物流コンサルタント/20代後半女性/年収500万円/2014年度)

「部署によりけりで一様ではない。個人によって遅くまでいる人もいれば早く帰る人もいるが、会社としては残業削減の方向で動いています。」(管理部門/中途入社 男性)

4位 ADK

ADKホールディングスのロゴ

「仕事の仕方は自由裁量が大きく、自分で時間配分が調整しやすい。部署の雰囲気もアットホームで平日も仕事終わりの時間はゆとりがあった。ワークライフバランスについては大変満足していた。」(国際局 営業/ 中途入社 女性 30代)

「今は10年前とは違い残業に厳しくなってきたので早く帰れることが多い。仕事だけに追われる生活ではなくなった」(広告部門/中途入社 男性/ 30代)

意外に5位にランクイン!「電通」

電通のロゴ

「最近は、一連の問題があり22時までしか残業できなくなった。また全社的に65時間までしか働けないということもあり、かなり楽になっている。土日の勤務も基本的には禁止になった」
(法人営業/20代後半男性/年収980万円/2016年度)

「ここ数年は世の中の流れに沿った働き方改革などが浸透しており、残業もほとんどない。プライベートを充実させることが出来る。」(マーケティング部 次長/ 新卒 男性/ 40代)

「営業は会社というよりクライアントに左右される。クライアントの業績を上げるため、競合に勝つために試行錯誤する毎日。なので職場環境というよりはクライアントとの関係性によりすべてが大きく変わると思います。」(営業/ 新卒 男性/ 40代)

「22時以降は強制退社となったため残業量が圧倒的に減りました。その分朝早く出社する事も増えましたが朝7時から8時に出社すると朝食がもらえるなどのサポートもあり満足しています。また、インプットホリデーという名前で月1日強制の休みが出来たので休みの日がかなり増えました。」(マーケティング/ 新卒 男性/ 40代)

変わろうとする電通

様々な問題を指摘されている電通ですが、現在では働き方改革を全力で進めているようです。

まだまだ企業体質は変わらないようですが、働き方改革をしているのも事実ですのでこれから改善されていくのではないでしょうか。

その辺りのリアルな経緯を、元Googleで電通のコンサル担当、zonari合同会社 代表執行役社長/アタラ合同会社 フェローの有園雄一氏による寄稿コラムがありますのでぜひ読んでみてください。